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贈与税にも時効がある! めったに成立しない理由とは
2026/09/08

贈与税にも、一般に「時効」と呼ばれる期間制限があります。
「何年も前の贈与なら、もう贈与税を払わなくてもよいのでは?」
「親からお金をもらったけれど、税務署から何も言われていないから大丈夫なのでは?」
このように考える方もいるかもしれません。
しかし、贈与税については、単純に「何年か経てば課税されなくなる」と考えるのは危険です。
法律上、問題になるのは、税務署が贈与税について更正・決定などを行うことができる期間です。一般には「時効」と表現されることが多いものの、実務では期間制限、いわゆる除斥期間として考える必要があります。
しかも、贈与そのものが成立しているのか、名義預金ではないのか、相続税の計算に加算されないのかといった別の問題もあるため、単純に年数だけで判断することはできません。
贈与税の「時効」はいつから数える?
まず注意したいのが、期間を数え始める日です。
贈与税の申告期限は、原則として贈与を受けた年の翌年3月15日です。国税庁も、贈与税の申告は原則として翌年2月1日から3月15日までに行うと案内しています。
例えば、2026年中に贈与を受けた場合を考えてみます。
原則的な申告期限は、
2027年3月15日
です。
したがって、期間制限を考える際には、単純に「2026年に贈与を受けたから、2026年から6年間」と考えるわけではありません。
申告期限を基準に考える必要があります。
贈与税の期間制限は原則6年
贈与税について税務署が更正・決定などを行うことのできる期間は、原則として6年とされています。
国税庁の資料でも、贈与税の更正・決定等については6年とされています。
例えば、
-
贈与を受けた
-
本来は贈与税申告が必要だった
-
しかし制度を十分理解していなかった
-
意図的な隠ぺいや仮装まではしていなかった
といったケースでは、原則6年の期間制限が問題になります。
ただし、
「6年間黙っていれば払わなくて済む」
という意味ではありません。
申告が必要だったにもかかわらず申告していなければ、期間内に税務署から指摘された場合、本来納めるべき贈与税だけでなく、
-
無申告加算税
-
過少申告加算税
-
延滞税
などが加わる可能性があります。
不正がある場合には7年になることもある
さらに注意したいのが、意図的に税金を免れようとしたケースです。
「偽りその他不正の行為」によって税金を免れたと判断される場合には、期間制限が7年となることがあります。
例えば、
-
贈与があったことを意図的に隠す
-
税務署に虚偽の説明をする
-
実態と異なる名義を利用する
-
資料を意図的に隠す
-
架空の取引を作る
といった行為があれば、単なる申告忘れとは扱いが異なります。
悪質なケースでは、重加算税が課される可能性もあり、さらに重大な脱税と判断されれば刑事責任が問題になることもあります。
そのため、
「税務署に見つからなければいい」
という考え方は非常に危険です。
年間110万円までなら何をしても贈与税がかからないわけではない
贈与税では、暦年課税を選択している場合、原則として年間110万円の基礎控除があります。
そのため、
「毎年110万円ずつ子どもの口座に振り込めば問題ない」
と思われることがあります。
しかし、重要なのは実際に贈与が成立しているかどうかです。
贈与は、基本的に、
-
財産を「あげる」側
-
財産を「もらう」側
双方の合意によって成立します。
例えば、親が子ども名義の預金口座を作り、子どもには知らせず、親自身が通帳や印鑑を管理し続けていたとします。
表面的には「子ども名義の預金」ですが、実態として親が管理し、子どもが自由に使える状態になっていなければ、税務上は贈与が成立しておらず、親の財産と判断される可能性があります。
これが、いわゆる名義預金です。
名義預金なら「贈与税の時効」自体が問題にならないことも
ここが非常に重要なポイントです。
仮に20年前から親が子ども名義の口座へお金を入れていたとしても、それだけで、
「20年以上たったから贈与税の時効が成立している」
とは限りません。
そもそも贈与が成立していないと判断されれば、その預金は親の財産のままです。
親が亡くなったときに、
被相続人の相続財産
として相続税の対象になる可能性があります。
つまり、
「贈与税の時効が成立したか」
を考える以前に、
「本当に贈与だったのか」
を確認する必要があるのです。
相続税の税務調査で名義預金が問題になりやすいのも、このためです。
税務署はどうやって昔の贈与を知るのか
「現金を渡しただけなら、税務署には分からないのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
確かに、税務署がすべての個人間贈与をリアルタイムで把握しているわけではありません。
しかし、贈与の申告漏れは、別の出来事をきっかけに判明することがあります。
代表的なのが、
-
不動産を購入した
-
不動産の登記を行った
-
高額な財産を取得した
-
相続が発生した
-
相続税申告を行った
-
税務調査で預金履歴を確認された
といったタイミングです。
特に不動産購入では、
「この人の所得や預金額で、この購入資金をどのように用意したのか」
という資金源が問題になる場合があります。
例えば、年収500万円の子どもが突然4,000万円の不動産を現金で購入すれば、その資金がどこから出たものなのか確認される可能性があります。
親から住宅購入資金を受け取っていた場合には、
-
贈与だったのか
-
借入だったのか
-
贈与税申告をしているのか
-
非課税特例を利用しているのか
などが確認事項になります。
相続が発生すると過去のお金の動きが確認されることがある
贈与の問題が表面化しやすい大きなタイミングが相続です。
相続税申告では、亡くなった方の財産を確定するために、
-
預金残高
-
過去の口座履歴
-
証券口座
-
不動産
-
保険
-
親族への資金移動
などを確認することがあります。
例えば、亡くなる数年前に被相続人の口座から1,000万円が引き出され、その直後に子どもの口座へ同額が入金されていれば、
「この1,000万円は何だったのか」
という話になります。
贈与であれば贈与税の問題が生じる可能性がありますし、単なる名義変更であれば相続財産として扱われる可能性もあります。
このため、贈与税について、
「何年間、税務署から何も言われなかったか」
だけを基準に判断することはできません。
「贈与税の時効を待つ」という考え方が危険な理由
贈与税には期間制限があります。
しかし、それを前提として、
「あと2年黙っていれば6年になる」
「税務署から連絡がなければ大丈夫」
と考えることはおすすめできません。
理由はいくつもあります。
-
期間内に申告漏れが発覚する可能性がある
-
不正と判断されれば7年になる可能性がある
-
加算税や延滞税が発生する可能性がある
-
贈与そのものが成立していない可能性がある
-
名義預金として相続財産になる可能性がある
-
相続時に生前贈与加算の対象になる可能性がある
つまり、贈与税だけを見ていても十分ではないのです。
2024年から生前贈与加算の期間が段階的に7年へ
相続対策を考えている方に特に知っておいてほしいのが、生前贈与加算のルール変更です。
暦年課税で贈与を受けた人が、その後、贈与した人から相続や遺贈によって財産を取得した場合、相続開始前の一定期間内に受けた贈与財産を相続税の課税価格に加算する制度があります。
令和5年度税制改正によって、この加算対象期間は従来の3年間から7年間へ延長されることになりました。
2024年1月1日以後の贈与から新しい制度が適用され、経過措置を経て、2031年1月1日以後に開始する相続では原則7年間が対象になります。
ただし、延長された部分、つまり相続開始前3年以内より前の贈与については、合計額から100万円を控除できる仕組みがあります。
ここは、
「年間100万円まで非課税になる」
という意味ではありません。
生前贈与加算を計算するときに、一定の贈与財産について総額100万円を控除する制度です。
年間110万円の贈与税の基礎控除とは別の制度なので、混同しないよう注意が必要です。
「110万円以下にしておけば相続対策になる」とも限らない
これまで相続対策として、
「毎年110万円ずつ子どもへ贈与する」
という方法が広く知られていました。
もちろん現在でも暦年贈与という方法そのものが使えなくなったわけではありません。
ただ、相続開始前の一定期間に行われた贈与については、相続税の課税価格へ加算される可能性があります。
そのため、今後の生前贈与では、
-
誰に贈与するか
-
何歳から始めるか
-
毎年いくら贈与するか
-
暦年課税を使うか
-
相続時精算課税を使うか
-
不動産を贈与するか
-
現金を贈与するか
-
将来の相続財産はいくらになるか
まで含めて考える必要があります。
単純に、
「110万円×人数×年数」
だけで相続対策を考える時代ではなくなっています。
不動産の贈与は特に慎重な判断が必要
彦根市や滋賀県内でも、
「親の土地を子ども名義にしたい」
「実家を生前に子どもへ渡したい」
「収益アパートを子どもに贈与したい」
といった相談は考えられます。
しかし、不動産の生前贈与では、現金とは違う費用や税金も発生します。
例えば、
-
贈与税
-
登録免許税
-
不動産取得税
-
司法書士費用
-
登記関係費用
などです。
さらに、不動産の評価額によっては贈与税が高額になる可能性があります。
「どうせ将来子どもが相続する土地だから、今のうちに名義変更しておこう」
という理由だけで贈与すると、相続まで待った場合より税負担が増えることもあります。
一方で、
-
収益不動産から生まれる家賃を早い段階で子どもへ移したい
-
将来値上がりしそうな財産を先に贈与したい
-
相続財産を計画的に減らしたい
など、生前贈与に意味があるケースもあります。
そのため、不動産については、
「贈与する・相続する・売却する・共有する」
といった複数の選択肢を比較して判断することが重要です。
彦根市の実家や土地を子ども名義にする前に確認したいこと
彦根市で親名義の土地・建物をお持ちの方が、生前贈与を検討するときには、税金だけではなく、その不動産を将来どうするのかまで考えておく必要があります。
例えば、
-
子どもが彦根市に住み続ける予定なのか
-
実家を利用する人がいるのか
-
将来的に売却する可能性があるのか
-
賃貸として活用できるのか
-
複数の相続人がいるのか
-
土地を分けることができるのか
-
建物の老朽化が進んでいないか
などです。
子どもへ名義を移したものの、誰も利用せず、その後空き家になってしまえば、固定資産税や管理費用だけが残る可能性があります。
相続対策では、
「誰の名義にするか」より「その財産を最終的にどう活用するか」
を先に考えることが重要です。
贈与なのか、親子間の貸し借りなのかも明確に
親が子どもの住宅購入資金を援助する場合などに、
「これは贈与ではなく貸しただけ」
と説明されることがあります。
もちろん、本当に金銭消費貸借であれば、すべてが贈与になるわけではありません。
ただし、実態が必要です。
例えば、
-
借用書を作成している
-
返済期限を決めている
-
実際に毎月返済している
-
返済可能な金額になっている
などが重要になります。
書類だけ作成し、実際には一度も返済していないのであれば、贈与と判断される可能性があります。
税務では名称ではなく、実態が重視されます。
贈与税の申告漏れに気づいたらどうする?
「数年前、親から500万円をもらったが申告していなかった」
「住宅購入資金として1,000万円援助してもらった」
「祖父が自分名義の口座に長年お金を入れていた」
こうしたことに後から気づいた場合、最も避けたいのは、
何もせずに時効を待つこと
です。
まず、
-
本当に贈与が成立しているのか
-
贈与税申告が必要だったのか
-
何年の贈与なのか
-
申告期限はいつだったのか
-
利用できる特例がなかったか
-
期限後申告を行うべきか
-
名義預金に該当しないか
-
将来の相続税にどのような影響があるか
を整理する必要があります。
特に、
-
年間110万円を超える現金贈与
-
親族からの住宅購入資金
-
高額な預金移動
-
不動産の贈与
-
自動車など高額資産の贈与
-
親や祖父母が管理する子・孫名義の口座
-
相続直前のまとまった資金移動
がある場合には、早めに税理士などの専門家へ確認することをおすすめします。
相続対策は「時効」ではなく「記録を残す」ことから
贈与税には期間制限があります。
しかし、相続対策として本当に大切なのは、
「何年たてば税務署から追及されないか」
を考えることではありません。
むしろ重要なのは、
「いつ、誰が、誰に、いくら、どのような意思で贈与したのか」
を明確にしておくことです。
例えば、
-
贈与契約書を作成する
-
受贈者本人の口座へ振り込む
-
受贈者自身が通帳等を管理する
-
必要であれば贈与税申告を行う
-
贈与した理由や経緯を記録しておく
といった対応をしておけば、将来相続が発生したときにも説明しやすくなります。
相続税の税務調査では、10年、20年前のお金の動きが問題になることもあります。
だからこそ、生前贈与は、
「渡したら終わり」ではなく、「後から説明できる状態をつくるところまで」
が相続対策です。
トラストエージェントでは、彦根市を中心に、相続した土地・建物や空き家、不動産売却などの相談を受け付けています。
不動産が絡む相続では、
-
生前贈与した方がよいのか
-
相続まで待った方がよいのか
-
売却した方がよいのか
-
賃貸・活用した方がよいのか
-
相続人同士でどう分けるのか
によって結果が大きく変わります。
税務については税理士、登記については司法書士などの専門家と連携しながら、不動産については地域の市場状況まで含めて整理することが大切です。
「昔の贈与だから、もう大丈夫だろう」
と自己判断する前に、一度資料や資金移動を整理してみてください。
贈与税の時効を期待するよりも、今の段階で正しい状態にしておくことが、将来の相続トラブルや税務リスクを減らす近道になります。
※本記事は2026年8月時点で確認できる制度・国税庁資料等をもとに、一般的な内容を解説したものです。実際の更正・決定等の期間制限、贈与の成立、加算税、生前贈与加算、名義預金の判定等は個別事情によって異なります。具体的な税務判断については税理士・所轄税務署等へご確認ください。
監修者情報
- 商号
- 株式会社 トラストエージェント
- 代表
- 代表取締役 臼井 大典📞0749-26-2103
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