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「もうひとつの生命保険」マンション経営が相続対策に活かせる理由
2026/09/01

生命保険と聞くと、まず思い浮かぶのが終身タイプの死亡保険ではないでしょうか。毎月保険料を支払い、万一のことが起きた場合には、契約内容に応じて数百万円から数千万円の死亡保険金が家族に支払われます。
もちろん生命保険は、残された家族の生活を支えるための重要な備えです。
一方で、「家族に何を、どのような形で遺すか」という視点で考えると、現金だけが選択肢とは限りません。
そのひとつとして考えられるのが、賃貸マンションやアパートなど、家賃収入を生む不動産を家族に遺す方法です。
特に、アパートローンや不動産投資ローンと「団体信用生命保険」を組み合わせることで、生命保険とは異なる形で家族への備えをつくれる場合があります。
アパートローンでも利用される「団体信用生命保険」
住宅ローンを利用した経験がある方であれば、「団体信用生命保険」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
一般に「団信」と呼ばれる保険です。
団信では、ローン契約者が死亡した場合や、契約で定められた高度障害状態などに該当した場合に、保険金によってローン残高が返済される仕組みになっています。
つまり、例えばローンを利用して賃貸マンションを所有している途中で契約者が亡くなり、団信の支払条件を満たせば、
-
ローン残債が保険金によって返済される
-
家族にはローン負担のなくなった不動産が残る
-
賃貸が継続できれば、その後も家賃収入を得られる可能性がある
という形になります。
住宅ローンでは団信への加入が融資条件となっている商品が多い一方、アパートローンや投資用不動産ローンでは金融機関や商品によって扱いが異なります。
また、
-
年齢
-
健康状態
-
借入期間
-
借入金額
-
金融機関の融資条件
などによって加入できない場合もあります。
そのため、「不動産を買えば必ず団信が利用できる」というものではありません。
すでに終身保険へ加入している方であれば、「さらに団信まで付ける必要があるのだろうか」と感じるかもしれません。
しかし、死亡保険と団信では役割が異なります。
死亡保険は原則として保険金という現金を家族へ遺す仕組みですが、団信を利用した賃貸不動産は、条件を満たせば借入のない収益不動産を遺せる可能性がある仕組みだからです。
「現金を遺す」のか「収入を生む資産を遺す」のか
例えば、死亡保険金として5,000万円を家族に遺した場合を考えてみましょう。
5,000万円というまとまった現金は非常に心強いものです。
一方で、
-
生活費として毎月いくら使うのか
-
老後資金をどこまで残すのか
-
投資するのか預金するのか
-
子どもの教育費にいくら使うのか
-
住宅ローンを返済するのか
など、受け取った家族自身が資金管理を考える必要があります。
これに対して、賃貸マンションやアパートを遺す場合、入居者がいて賃貸経営が安定していれば、毎月一定の家賃収入を得られる可能性があります。
つまり、
「まとまった現金を一度に遺す」のではなく、「毎月収入を生む資産を遺す」
という発想です。
ただし、ここは非常に重要です。
マンションやアパートは預金でも保険でもありません。
賃貸経営には、
-
空室
-
家賃下落
-
建物の老朽化
-
修繕費
-
設備交換費
-
管理費
-
固定資産税
-
火災・災害
-
入居者トラブル
-
売却価格の下落
などのリスクがあります。
したがって、「マンションを持っていれば家賃が一生保証される」という考え方は適切ではありません。
生命保険と不動産は、単純にどちらが有利・不利と比較するものではなく、それぞれ異なる性質を持った資産として考える必要があります。
家族が「突然大家になる」ことにも備えておく
相続対策として賃貸不動産を所有するとき、意外と見落とされやすいのが、相続する家族が賃貸経営を理解しているかどうかです。
本人は物件について、
-
購入価格
-
借入金額
-
金利
-
入居状況
-
家賃
-
管理会社
-
修繕履歴
-
今後必要になる修繕
-
売却する場合のおおよその価格
まで把握していても、家族が何も知らないケースがあります。
その状態で突然相続が発生すると、家族はある日突然「大家」になります。
すると、
「このマンションは持ち続けた方がいいのか」
「売却した方がいいのか」
「家賃はいくら入っているのか」
「管理会社はどこなのか」
「修繕費はいくら必要なのか」
「相続税はいくらになるのか」
といった判断を短期間で迫られることになります。
判断できないまま売却を急ぎ、本来検討できたはずの選択肢を失ってしまう可能性もあります。
そのため、賃貸不動産を相続対策として所有するのであれば、物件だけでなく**「経営に必要な情報」まで家族へ引き継げる状態にしておくこと**が重要です。
例えば、
-
管理会社の連絡先
-
金融機関
-
ローン残高
-
団信の契約内容
-
賃貸借契約
-
修繕履歴
-
固定資産税の資料
-
確定申告資料
-
不動産会社
-
税理士
-
司法書士
などを一覧にしておくだけでも、相続後の家族の負担は大きく変わります。
2024年から相続登記は義務化されています
不動産を家族へ遺す場合には、相続後の登記についても知っておかなければなりません。
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った相続人は、原則として取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、2024年4月1日より前に発生した相続についても、未登記であれば原則として義務化の対象です。
つまり、不動産を遺すということは、資産だけではなく、
「その後に必要となる手続き」まで家族へ伝えておくこと
が重要になっています。
生命保険と不動産では、相続税の扱いも違う
税金についても違いがあります。
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、一定の場合に「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
ただし、相続人が受け取る死亡保険金については、
500万円 × 法定相続人の数
まで非課税になる制度があります。
例えば、
-
死亡保険金 5,000万円
-
法定相続人 配偶者1人+子ども1人
であれば、法定相続人は2人です。
非課税限度額は、
500万円 × 2人 = 1,000万円
となります。
したがって、単純化すると、
5,000万円-1,000万円=4,000万円
が相続税計算上の対象に加算されることになります。
もちろん、実際の相続税額は、
-
相続財産全体
-
借入金
-
基礎控除
-
配偶者の税額軽減
-
小規模宅地等の特例
-
その他の控除
などによって変わるため、保険金だけを見て税額を判断することはできません。
団信の保険金は「家族が受け取る死亡保険金」とは仕組みが違う
団信の場合、一般的な死亡保険とはお金の流れが異なります。
団信の保険金は、通常、遺族が現金として受け取るのではなく、金融機関へのローン返済に充てられます。
例えば、
-
マンションのローン残高 3,000万円
-
契約者死亡時に団信が適用
-
団信保険金で3,000万円のローンを返済
となれば、相続人には原則としてローンが完済された不動産が残る形になります。
ただし、団信によって返済される借入については、相続開始時点で相続人が負担する債務として残らないため、通常の借入金のように相続財産から債務控除することもできません。
この点も、
「ローンがあるから相続税が必ず下がる」
と単純に考えてはいけない理由です。
不動産は「購入価格」ではなく相続税評価額で評価される場合がある
不動産には、現金とは異なる特徴があります。
例えば現金5,000万円であれば、相続税評価も基本的に5,000万円です。
一方、不動産については原則として、
-
土地……路線価方式または倍率方式
-
建物……固定資産税評価額
などを基準として評価されます。
さらに、賃貸されている建物については、借家権割合や賃貸割合を考慮して評価する仕組みがあります。
国税庁も、例えば固定資産税評価額100万円、借家権割合30%、賃貸割合100%の貸家であれば、評価額は70万円になる計算例を示しています。
また、一定の要件を満たす貸付事業用宅地については、小規模宅地等の特例により200㎡まで50%減額できる場合があります。
こうした仕組みが、不動産が相続対策として利用されてきた理由のひとつです。
ただし、現在は「不動産を買えば大きく相続税評価を下げられる」と単純に考えられる時代ではありません。
分譲マンションの相続税評価は2024年に見直されています
2024年1月1日以後に相続・遺贈・贈与によって取得した一定の居住用区分所有財産、いわゆる分譲マンションについては、新しい評価方法が導入されています。
従来、タワーマンションなどでは、
「実際の売買価格」と「相続税評価額」
の差が非常に大きくなるケースがありました。
その評価差を利用した相続税対策が広がったことから、現在では一定の補正を行って評価する仕組みになっています。
つまり、
「マンションなら市場価格より大幅に低く相続税評価できる」
とは限りません。
さらに2027年から「取得後5年以内の貸付用不動産」の評価が大きく変わる予定です
そして、これから不動産を使った相続対策を考える方にとって、特に重要なのが令和8年度税制改正です。
財務省が公表した令和8年度税制改正の大綱では、相続などの課税時期前5年以内に、対価を伴う取引で取得または新築した一定の貸付用不動産について、評価方法を見直す方針が示されています。
原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価し、課税上の弊害がない場合には、
取得価額を基礎として地価変動などを考慮した価額の80%相当額
で評価できる仕組みとされています。
適用は2027年1月1日以後の相続等とされています。
これは非常に大きな変更です。
今後は、
「相続直前に賃貸マンションを購入して評価額を大幅に下げる」
という方法は、以前より使いにくくなると考えられます。
これからは、節税だけを目的に短期間所有するのではなく、
-
長期間保有できるか
-
家賃収入が安定するか
-
修繕費を織り込んでも利益が残るか
-
将来売却できる立地か
-
家族が引き継げる物件か
という不動産本来の収益性や資産性が、より重要になります。
「節税できるから買う」は避ける
不動産を利用した相続対策では、税金だけを見て判断するのは危険です。
実際、最高裁判所は2022年4月19日、相続税の不動産評価をめぐる事件について、財産評価基本通達による評価額を上回る価額で課税した税務当局の判断が問題となったケースで、納税者側の上告を棄却しています。
この判例からも分かるように、
「評価額を下げて相続税を減らすことだけを目的に不動産を購入する」
という考え方には注意が必要です。
相続対策は、
節税・収益・資産価値・家族への承継
を一体で考える必要があります。
彦根市で考えるなら「何を買うか」以上に「どこを買うか」が重要
彦根市や滋賀県北部で賃貸不動産を相続対策として考える場合には、東京や大阪のマンション投資とは違った視点も必要です。
2023年の住宅・土地統計調査を基にしたデータでは、彦根市の空き家率は14.8%、空き家数は8,370戸とされています。
つまり、彦根市であれば、
「建てれば入居する」
「マンションなら長期間価値が落ちない」
と考えるのではなく、より細かな地域分析が必要です。
例えば、
-
JR彦根駅周辺
-
南彦根駅周辺
-
彦根インターチェンジ周辺
-
大学・学校周辺
-
商業施設へのアクセス
-
企業・工場への通勤需要
-
駐車場を確保できるか
-
単身者向けかファミリー向けか
などによって賃貸需要は大きく変わります。
特に地方都市では、駅からの距離だけではなく、自動車で生活しやすい立地かどうかも重要な判断材料になります。
相続対策として不動産を所有するのであれば、「税金が下がる物件」より、
10年後、20年後にも家族が保有・運用・売却しやすい物件
を選ぶことが重要です。
「もうひとつの生命保険」という考え方は、節税ではなく家族設計から
マンション経営やアパート経営は、自分自身が家賃収入を得るためだけのものではありません。
団信を利用できる物件であれば、万一の際にローンが返済され、家族へ収益不動産を遺せる可能性があります。
その意味では、不動産経営を「もうひとつの生命保険」のように捉える考え方もできます。
ただし、大切なのは、
生命保険か、不動産か
という二者択一ではありません。
生命保険には、
-
すぐに現金化できる
-
遺産分割しやすい
-
納税資金として使いやすい
-
500万円×法定相続人の非課税枠がある
というメリットがあります。
一方、不動産には、
-
家賃収入を得られる可能性がある
-
長期的な資産として残せる
-
一定の場合に相続税評価上の特徴がある
-
団信によってローンが完済される可能性がある
という特徴があります。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
だからこそ重要なのは、
「いくら節税できるか」ではなく、「家族に何を、どのような状態で遺したいのか」
から考えることです。
トラストエージェントでは、彦根市を中心に、不動産相続や不動産売却について地域の不動産事情を踏まえたご相談を承っています。
相続した不動産を、
-
売却する
-
賃貸する
-
保有する
-
土地活用する
といった選択肢から検討するだけでなく、弁護士・司法書士・税理士などの専門家とも連携しながら、相続と不動産を一体として考えることができます。
「相続対策として不動産を所有しているが、このままでよいのか」
「親が持っている賃貸物件を今後どうすればよいのか」
「団信に加入している不動産を相続した場合、どうなるのか」
「彦根市にある相続不動産を売却するべきか、賃貸するべきか迷っている」
このようなお悩みがある場合には、税金だけで判断せず、不動産の市場価値、収益性、相続税、将来の管理負担まで含めて検討することが大切です。
相続は「財産を遺すこと」がゴールではありません。
遺された家族が、その財産を無理なく守り、活用できる状態まで準備しておくこと。
それこそが、本当の意味での相続対策ではないでしょうか。
※本記事は2026年8月時点の制度・公表資料を基に一般的な情報をまとめたものであり、個別の税務・法務判断を行うものではありません。団体信用生命保険の保障内容、融資条件、相続税評価、各種特例の適用可否は契約・物件・相続状況によって異なります。具体的な判断については、税理士・司法書士・金融機関等の専門家へご確認ください。
監修者情報
- 商号
- 株式会社 トラストエージェント
- 代表
- 代表取締役 臼井 大典📞0749-26-2103
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