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2種類の養子縁組と相続における 違いとは?
2026/07/14

養子縁組と相続の基本|普通養子・特別養子の違いと相続税への影響をわかりやすく解説
養子縁組を行う理由や目的は、家庭によってさまざまです。
たとえば、
- 再婚相手の子どもと法律上の親子関係を結びたい
- 孫に財産や家を引き継がせたい
- 将来の介護や扶養、生活設計を考えて親子関係を整えたい
- 相続対策として養子縁組を検討している
- 事業承継や不動産承継のために後継者を明確にしたい
といったケースがあります。
養子縁組は、単に戸籍上の関係を変えるだけではありません。
成立すると、養親と養子の間に法律上の親子関係が生まれ、相続権や扶養義務にも大きな影響が出ます。
特に相続では、養子がいるかどうかによって、
- 誰が相続人になるのか
- 法定相続分がどう変わるのか
- 他の相続人の取り分が減るのか
- 相続税の基礎控除額が変わるのか
- 不動産の名義変更や売却に誰の同意が必要になるのか
といった点に関わってきます。
この記事では、普通養子縁組と特別養子縁組の違い、養子の相続権、他の相続人への影響、相続税上の注意点について解説します。
彦根市や滋賀県内で相続不動産、空き家、土地、実家の承継にお悩みの方も、養子縁組が相続にどう関係するのかを整理しておくことが大切です。
養子縁組とは何か
養子縁組とは、実の親子ではない人同士の間に、法律上の親子関係を作る制度です。
法務省も、養子縁組について「養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出す手続」と説明しています。養子縁組が成立すると、養親と養子の間には、相続権や扶養義務など、親子としての法律上の効果が発生します。
現在、日本の養子縁組には大きく分けて次の2種類があります。
- 普通養子縁組
- 特別養子縁組
どちらも「法律上の親子関係を作る」という点では共通していますが、制度の目的や実親との関係、相続への影響は大きく異なります。
2種類の養子縁組|普通養子縁組と特別養子縁組
普通養子縁組とは
普通養子縁組は、古くからある養子縁組制度です。
代表的な例としては、次のようなケースがあります。
- 再婚相手の子どもを養子にする「連れ子養子」
- 孫に財産や家を継がせるための「孫養子」
- 家業や事業を承継するための養子縁組
- 老後の生活や扶養関係を明確にするための養子縁組
- 不動産や墓、家名の承継を目的とした養子縁組
普通養子縁組の大きな特徴は、養親との間に法律上の親子関係ができる一方で、実親との親子関係も原則として継続するという点です。
つまり、普通養子になった人は、原則として、
- 実親の相続人になる
- 養親の相続人にもなる
という立場になります。
相続の場面では、この点が非常に重要です。
たとえば、AさんがBさんの普通養子になった場合、AさんはBさんの相続人になります。
一方で、Aさんと実親との法律上の親子関係も続くため、実親が亡くなったときにも、Aさんは実親の相続人になります。
普通養子縁組の主な要件
普通養子縁組を行うには、民法上いくつかの制限があります。
主なポイントは次のとおりです。
- 養親は成年、つまり18歳以上であること
- 養親より年長の人を養子にすることはできない
- 自分の親や祖父母など、尊属を養子にすることはできない
- 未成年者を養子にする場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要
- 未成年者を養子にする場合、原則として夫婦共同で養親になる必要がある
- 配偶者がいる人が養子縁組をする場合、原則として配偶者の同意が必要
ただし、配偶者の連れ子を養子にする場合など、家庭裁判所の許可や夫婦共同縁組について例外が認められるケースもあります。
実際の手続きでは、家族関係、養子の年齢、配偶者の有無、親権者の状況などによって必要な対応が変わります。
特別養子縁組とは
特別養子縁組は、子どもの福祉を目的として設けられた制度です。
法務省は、特別養子縁組について、子どもの福祉の増進を図るため、養子となる子どもと実親との法的な親子関係を解消し、養親との間に実の親子と同様の親子関係を成立させる制度と説明しています。
普通養子縁組との大きな違いは、特別養子縁組が成立すると、原則として実親および実方血族との法律上の親族関係が終了するという点です。
そのため、特別養子になった子は、基本的に、
- 実親の相続人ではなくなる
- 養親の相続人になる
という扱いになります。
普通養子縁組が「実親との関係を残したまま、養親との親子関係を作る制度」であるのに対し、特別養子縁組は「実親との法的関係を終了させ、養親との親子関係に一本化する制度」といえます。
特別養子縁組の主な要件
特別養子縁組は、普通養子縁組よりも要件が厳しく、家庭裁判所の判断によって成立します。
主な要件は次のとおりです。
- 原則として、養親は夫婦で共同して縁組する
- 養親となる夫婦の一方は25歳以上、もう一方は20歳以上であること
- 養子となる子は、原則として家庭裁判所への申立時に15歳未満であること
- 実親の同意が原則として必要
- ただし、虐待や悪意の遺棄など、子の利益を著しく害する事情がある場合は実親の同意が不要となることがある
- 家庭裁判所の決定前に、養親候補者が6か月以上監護している状況が考慮される
特別養子縁組は、相続対策や家の承継のためというよりも、子どもの利益を最優先に考える制度です。
そのため、単に「相続税を減らしたい」「財産を渡したい」という目的だけで利用できる制度ではありません。
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
普通養子縁組と特別養子縁組の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 家族関係、扶養、承継、相続対策など | 子どもの福祉 |
| 実親との関係 | 原則として継続 | 原則として終了 |
| 養親との関係 | 法律上の親子関係が成立 | 実親子と同様の親子関係が成立 |
| 相続権 | 実親・養親の両方に相続権を持つ | 原則として養親側のみ |
| 成立方法 | 届出、場合により家庭裁判所の許可 | 家庭裁判所の審判 |
| 離縁 | 原則として可能 | 原則として離縁は極めて限定的 |
相続で特に重要なのは、実親との相続関係が残るかどうかです。
普通養子の場合は、養親の相続人になりつつ、実親の相続人でもあります。
特別養子の場合は、原則として実親側との法的親族関係が終了するため、実親の相続人ではなくなります。
養子に相続権はあるのか
結論からいうと、養子には相続権があります。
養子縁組が成立すると、養子は養親の法律上の子になります。
そのため、養親が亡くなった場合、養子は実子と同じように相続人になります。
たとえば、被相続人に配偶者と子どもがいる場合、法定相続分は原則として、
- 配偶者:2分の1
- 子ども全員:2分の1
です。
この「子ども全員」の中には、実子だけでなく養子も含まれます。
たとえば、相続人が次のようなケースを考えてみます。
- 配偶者
- 実子1人
- 普通養子1人
この場合、法定相続分は原則として、
- 配偶者:2分の1
- 実子:4分の1
- 養子:4分の1
となります。
養子だからといって、実子より相続分が少なくなるわけではありません。
養子縁組が他の相続人に与える影響
養子縁組をすると、他の相続人の相続分に影響が出ることがあります。
特に影響を受けやすいのは、すでに実子がいる家庭です。
たとえば、もともとの相続人が次の2人だったとします。
- 配偶者
- 実子1人
この場合、法定相続分は、
- 配偶者:2分の1
- 実子:2分の1
です。
ここに養子が1人加わると、相続人は次の3人になります。
- 配偶者
- 実子1人
- 養子1人
この場合、法定相続分は、
- 配偶者:2分の1
- 実子:4分の1
- 養子:4分の1
となります。
つまり、実子の相続分は 2分の1から4分の1に減少します。
このように、養子縁組は養親と養子だけの問題ではなく、他の相続人の取り分にも直接影響します。
そのため、
- 実子に知らせずに養子縁組をしていた
- 相続発生後に養子の存在が分かった
- 遺産分割協議で実子と養子の意見が対立した
- 不動産を誰が取得するかで話し合いがまとまらない
- 養子縁組の有効性をめぐって争いになった
といったトラブルにつながることもあります。
養子縁組と相続税の関係
養子縁組は、相続税にも影響します。
相続税の計算では、次のような場面で「法定相続人の数」が関係します。
- 相続税の基礎控除額
- 生命保険金の非課税限度額
- 死亡退職金の非課税限度額
- 相続税の総額の計算
国税庁も、相続税の計算において、これらの項目は法定相続人の数を基に計算すると説明しています。
相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
つまり、法定相続人が増えると、基礎控除額も増えます。
たとえば、
- 法定相続人が2人:3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
- 法定相続人が3人:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
- 法定相続人が4人:3,000万円 + 600万円 × 4人 = 5,400万円
となります。
養子が法定相続人に加わることで、相続税の基礎控除額が増える可能性があります。
相続税では養子の人数に制限がある
ただし、相続税の計算上、法定相続人の数に含められる養子の人数には制限があります。
国税庁によると、相続税の計算で法定相続人の数に含めることができる養子の人数は、次のとおりです。
- 被相続人に実子がいる場合:養子は1人まで
- 被相続人に実子がいない場合:養子は2人まで
たとえば、実子がいる人が普通養子を3人迎えていたとしても、相続税の基礎控除額などの計算で法定相続人の数に含められる普通養子は、原則として1人までです。
一方で、民法上の相続権そのものが否定されるわけではありません。
ここが非常に重要です。
つまり、
- 民法上は、養子全員が相続人になる
- 相続税法上は、基礎控除額などの計算に含められる養子の人数に制限がある
ということです。
「養子は1人までしか相続人になれない」という意味ではありません。
あくまで、相続税計算上の人数制限です。
特別養子は相続税上どう扱われるのか
特別養子縁組による養子は、相続税法上、実子として扱われます。
国税庁も、特別養子縁組により被相続人の養子となっている人は、実の子どもとして取り扱われ、法定相続人の数に含まれると説明しています。
そのため、普通養子に適用される「実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで」という人数制限とは扱いが異なります。
ただし、特別養子縁組は子どもの福祉を目的とする制度であり、相続税対策のために利用する制度ではありません。
養子縁組による相続税対策のメリット
養子縁組によって、相続税の負担が軽くなる可能性があります。
主なメリットは次のとおりです。
- 法定相続人の数が増える
- 相続税の基礎控除額が増える
- 生命保険金の非課税限度額が増える
- 死亡退職金の非課税限度額が増える
- 相続税の総額の計算に影響する
- 財産を承継させたい人を相続人にできる
たとえば、法定相続人が1人増えると、相続税の基礎控除額は600万円増えます。
また、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額は、一般的に、
500万円 × 法定相続人の数
で計算されます。
そのため、法定相続人が増えることにより、非課税枠が広がる可能性があります。
ただし、相続税を不当に減少させる目的があると認められる場合には、税務上、養子を法定相続人の数に含められないことがあります。国税庁も、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となる場合、その原因となる養子は法定相続人の数に含められないと説明しています。
養子縁組による相続トラブルの注意点
養子縁組は、相続対策として有効に働くことがあります。
しかし、十分な説明や準備がないまま行うと、相続トラブルの原因になることもあります。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 実子が養子縁組を知らなかった
- 養子だけに多くの財産を渡す内容になっていた
- 不動産を誰が相続するか決めていなかった
- 遺言書がないまま相続が発生した
- 養子縁組の目的が相続税対策だけに見える
- 認知症が進んだ後に養子縁組をしていた
- 他の相続人が養子縁組の有効性を争う
- 実家、農地、貸家、空き家など分けにくい財産が多い
現金や預貯金であれば、相続人同士で分けやすい場合があります。
しかし、不動産は簡単に分けることができません。
特に彦根市や滋賀県内では、親から実家や土地を相続したものの、
- 誰も住む予定がない
- 空き家の管理が負担になっている
- 固定資産税だけ払い続けている
- 建物が老朽化している
- 売却するか活用するか決められない
- 相続人が県外に住んでいて管理できない
といった相談が増えています。
彦根市では、平成25年の住宅・土地統計調査において、空き家率が18.7%、空き家数が10,440戸とされており、市も空き家の放置による安全性や景観、生活環境への影響を問題視しています。
相続人が増えると、不動産の売却や活用について合意を取る相手も増えます。
養子縁組を行う場合は、相続発生後の不動産承継まで見据えておくことが重要です。
彦根市で養子縁組と不動産相続を考えるときのポイント
彦根市で相続対策を考える場合、養子縁組だけでなく、不動産の扱いも同時に検討しておく必要があります。
特に確認したいポイントは次のとおりです。
- 実家を誰が相続するのか
- 相続後に住む人がいるのか
- 空き家になる可能性があるのか
- 売却する場合、誰の同意が必要になるのか
- 養子を含めた相続人全員で話し合いができるのか
- 相続税の納税資金をどう確保するのか
- 遺言書を作成しておくべきか
- 生前贈与や家族信託も検討すべきか
- 事業用不動産や貸家、農地がある場合の承継方法はどうするのか
養子縁組によって相続人が増えると、相続税の基礎控除が増える可能性がある一方で、遺産分割協議は複雑になることがあります。
特に不動産は、相続人全員の意見がまとまらないと売却が進みにくくなります。
そのため、養子縁組を検討する際は、次の3つをセットで考えることが大切です。
- 家族関係の整理
- 相続税の試算
- 不動産の承継・売却方針
養子縁組を検討する前に確認したいこと
養子縁組を相続対策として考える場合、事前に次の点を確認しておきましょう。
- 養子縁組の目的は明確か
- 実子や他の相続人に説明できる内容か
- 養子となる人との関係性は実態があるか
- 相続税対策だけが目的になっていないか
- 遺言書とあわせて準備すべきか
- 相続不動産を誰が取得するのか
- 不動産を売却する場合の流れを把握しているか
- 相続税の申告期限に間に合う資金計画があるか
- 専門家に相談してリスクを確認しているか
養子縁組は、一度成立すると相続だけでなく、扶養や親族関係にも影響します。
特に特別養子縁組は、実親との法的な親子関係が原則として終了する重大な制度です。
安易に判断せず、制度の趣旨と法的効果を十分に理解して進める必要があります。
まとめ|養子縁組は相続権・相続税・不動産承継に大きく影響する
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。
普通養子縁組では、養親との親子関係が生まれますが、実親との親子関係も原則として続きます。
そのため、普通養子は実親と養親の両方について相続権を持つことになります。
一方、特別養子縁組では、原則として実親との法的な親族関係が終了し、養親の子として相続権を持ちます。
また、養子は実子と同じように法定相続人になります。
そのため、他の相続人の相続分が減ることがあります。
相続税の計算では、普通養子を法定相続人の数に含められる人数に制限があります。
被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。
ただし、これは相続税計算上の制限であり、民法上の相続権がなくなるという意味ではありません。
養子縁組は、家族関係、相続税、遺産分割、不動産承継に大きな影響を与える制度です。
特に彦根市や滋賀県内で、実家・空き家・土地・貸家・事業用不動産の相続が関係する場合は、養子縁組だけでなく、相続後の不動産の扱いまで考えておくことが大切です。
トラストエージェントは、彦根市を中心に地域密着で不動産相続・不動産売却の相談を承っています。
「複雑な相続も、不動産の売却も。信頼できる専門家が一貫してサポートします。」
相続した不動産の管理や売却、空き家の活用、相続人同士の話し合いでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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