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民法改正で 不当な財産処分ができなくなる
2025/12/16
【相続法改正】他の相続人に内緒で預金を引き出すとどうなる?2019年施行の新ルールで「貰い得」が許されない時代に
2018年7月6日、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立し、同年7月13日に公布されました。
この法改正の中には、**相続人の一人が他の相続人に内緒で預金を引き出すとどうなるのか?**という重要な見直しが含まれており、2019年7月1日から施行されています。
今回は、「遺産分割の前に預金を引き出すとどうなるのか?」「引き出されたお金はどう扱われるのか?」といった疑問に対して、分かりやすく解説します。
なぜ法改正が必要だったのか?
相続が始まると、被相続人(亡くなった方)の財産は基本的に相続人全員の共有財産になります。
その後に遺産分割協議を行い、どの財産を誰が受け取るのかを決めていくのが基本の流れです。
▶️ 法改正前の問題点
法改正前は、「遺産分割のときに実際に存在している財産しか分割の対象にできない」というルールがありました。
このため、以下のようなケースで一部の相続人だけが得をしてしまうことがありました。
⚠ 典型例:相続発生後に預金を引き出されたケース
被相続人の預貯金が3,000万円
相続人は2人(甲・乙)
相続発生後、甲が乙に内緒で1,000万円を引き出したとします。
その場合、遺産分割時に残っている財産は2,000万円しかないため、協議の対象はこの金額に限定されてしまいます。
結果として:
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甲:2,000万円 × 1/2 + 1,000万円(引き出し済)= 2,000万円
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乙:2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
本来の法定相続分(3,000万円÷2=1,500万円)から見ると、乙が500万円も損をすることになります。
改正後はどう変わった?|処分された財産も含めて遺産分割が可能に!
2019年7月1日の施行により、相続発生後に勝手に引き出された預金や処分された財産も、遺産分割の対象に含められるようになりました。
つまり、先ほどの例で言えば、本来あるべき3,000万円全体を対象として分割協議ができるようになり、乙も正当な1,500万円を受け取れる可能性が出てきます。
ポイントは「他の共同相続人全員の同意」
ただし、処分された財産を遺産分割に含めるためには、処分していない相続人全員の同意が必要です(甲の同意は不要)。
✔ つまり、不当な引き出しがあったときは、
✔ ほかの相続人が一致して「分割対象に含める」と決めれば、
✔ 「貰い得」は通用しないということになります。
法改正のメリット
✅ 不公平な相続を防げる
従来は「早い者勝ち」「抜け駆けした者勝ち」といった不合理が起きやすかった相続。
法改正により、こうした行為ができなくなりました。
✅ 不利益を受けた相続人を救済
不当な引き出しがあっても、民事訴訟に頼らず相続手続きの中で対応できるようになったのは大きな進歩です。
注意点|相続発生前の引き出しは対象外
今回の改正が対象としているのは、**「相続発生後」**の財産処分です。
つまり、親が亡くなる直前に口座から大金が引き出されていた場合などは、従来通り、民事訴訟による解決が必要になります。
そのため、下記のようなケースには注意が必要です。
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入院直前に親名義の預金が大きく減っていた
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死亡前日に特定の相続人がキャッシュカードで引き出した
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被相続人が認知症状態の時期に引き出された
このような場合は証拠の収集や訴訟の検討が必要になる可能性があります。
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🛠 トラストエージェントの相続サポート
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✔ 相続発生後の不当な預金引き出しの対応支援
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まとめ|もう「貰い得」は許されない時代に
今回の民法改正によって、不公平な相続が発生しにくくなる仕組みが整いました。
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相続発生後の勝手な財産処分は、原則すべて「分割対象」に含められる
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他の相続人の同意があれば、抜け駆けは無効にできる
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相続前の引き出しには注意が必要。証拠が重要に。
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監修者情報
- 代表取締役
- 臼井 大典
トラストエージェントは、滋賀県彦根市にある不動産会社です。地域に根ざした豊富な実績を活かし、さまざまな案件に対応いたします。ここでは、そんな当社の会社概要を紹介します。当社へのアクセス情報はこちらからご確認ください。

