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不動産に関する遺言書は間違えやすい! 争族事例と対策
2025/11/30

自筆証書遺言の方式緩和とその落とし穴
2019年の民法改正により、自筆証書遺言の方式が一部緩和され、財産目録についてはパソコン等で作成しても良いことになりました。これにより、筆記具と紙さえあれば誰でも作れる自筆証書遺言のハードルは下がりました。
ただし、自筆証書遺言は法律の知識が乏しい一般の方が書くと、記載ミスや表現の曖昧さから、無効になったり争いの原因となることがあります。特に注意すべきは「不動産に関する記載」です。
不動産の住所を間違えると遺言書は無効になる?
不動産の遺贈では、物件を特定できる情報を正確に書くことが重要です。たとえば、土地や建物の所在地を記載する際に使われるのは、以下の2種類です。
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住居表示(住所):生活上の住所(例:滋賀県彦根市栄町2丁目6-65)
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地番(登記上の表示):法務局で管理されている不動産の識別情報(例:彦根市栄町二丁目●番)
実はこの2つは一致しない場合があります。また、住居表示は重複する可能性があり、特定が難しいため、遺言書には必ず**「登記地番」および「家屋番号」**を正確に記載する必要があります。
実際に、平成13年3月13日の最高裁判決では、住居表示しか記載されていなかった遺言書の有効性が争われた事例がありました。このとき裁判所は、遺言者の意思が明確であれば有効と判断しましたが、こうした曖昧な記載が無用な「争族」リスクを高めてしまうのです。
あいまいな表現がトラブルを招く
財産の記載ミスだけでなく、意思表示の曖昧さも遺言書のトラブルの原因です。
例えば「財産を〇〇に“まかせる”」と書かれた遺言では、遺贈(財産を譲渡する意思)なのか、単なる管理の依頼なのかが不明確で、実際に裁判で無効と判断された例があります。
このように、所有権を与えるのか、管理を委ねるのかという表現が曖昧だと、相続人間の解釈の違いから紛争が起きやすくなるのです。
正確に意思を伝えるための方法
法律に則って確実に遺言内容を伝えるには、プロのアドバイスを受けながら作成することが大切です。自筆証書遺言の場合は、以下のポイントに注意が必要です。
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財産を正確に特定(地番・家屋番号の記載)
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所有権や遺贈の意思を明確に表現
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日付・署名・押印など法律上の要件を漏れなく満たす
ただし、自筆証書遺言では代筆が禁止されており、本人の手書きが必須です。
そこでおすすめなのが、公正証書遺言です。公証人役場で作成されるこの形式の遺言は、以下のようなメリットがあります。
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公証人(法曹資格者)による法律的チェック
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2名以上の証人立ち合いによる信頼性の担保
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遺言書の原本が公証役場に保管される
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全国の公証人連合会のデータベースで検索可能
これにより、遺言書の紛失リスクや記載ミスによる無効リスクを限りなく減らすことができます。
遺言書は「プロに任せる」のが最も安全
不動産を相続させる遺言書で特に重要なのは、以下の2点です。
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不動産を正確に特定する(地番・家屋番号)
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明確な意思表示をする(遺贈か管理かなど)
これを誤ると、相続人同士で裁判になる可能性すらあります。確実に意思を遺すためには、司法書士や弁護士に相談すること、あるいは公正証書遺言の作成を検討することが最も安全です。
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監修者情報
- 代表取締役
- 臼井 大典
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