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民法改正で被相続人の 預貯金の取り扱いが変わる
相続財産で大きな割合を占める「預貯金」、その扱いが変わった理由とは?
2023年の国税庁データによると、相続財産の中で現金・預貯金の割合は35.1%、土地・家屋の不動産に次ぐ重要な資産となっています。
しかしこれまでの制度では、被相続人(亡くなった方)の預貯金は他の遺産と同様に遺産分割協議が終わるまで引き出せないため、以下のようなトラブルが発生していました。
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遺された配偶者が生活費を引き出せない
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葬儀費用の支払いに困るケース
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被相続人の債務(借金)を相続人が立て替える必要がある
これらの問題を解決するために、2018年7月に「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立し、預貯金の仮払い制度が創設されました。
【改正ポイント】相続預貯金の「仮払い」が可能に!新制度の2つの方法
1️⃣ 家庭裁判所への申し立てで仮払いが可能に
従来からあった「仮分割の仮処分(保全処分)」が大幅に緩和されました。
従来は「急迫の危険の防止」が必要条件でしたが、改正後は以下の事情があれば仮払いが可能です。
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相続財産に属する債務の弁済
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相続人の生活費の支弁
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その他必要が認められる場合
家庭裁判所に遺産分割調停や審判を申し立てたうえで、仮払いを請求します。
ただし金額は「他の相続人の利益を害しない範囲」に限られるため、上限は裁判所の判断によります。
2️⃣ 金融機関への直接請求で最大150万円まで引き出し可能
改正で新たに設けられた制度として、各相続人が金融機関に対して単独で請求できる方法があります。
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金融機関ごとの払戻し限度額:150万円
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計算式:相続開始時の預貯金額 × 1/3 × 法定相続分
必要な書類(例):
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被相続人の除籍謄本・戸籍謄本
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相続人全員の戸籍謄本
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払戻し希望者の印鑑証明書
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通帳や預貯金証明(金融機関による)
事前に金融機関への確認が重要です!
仮払い制度のメリット・デメリット
✅ メリット
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遺産分割協議を待たずに預貯金が引き出せる
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葬儀費用や債務の返済が迅速に対応できる
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生活費確保の負担を軽減できる
⚠️ デメリット・注意点
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家庭裁判所への申し立ては手間と時間がかかる
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金融機関の払戻しも必要書類が多い
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仮払いした金額は後の遺産分割で差し引かれる
まとめ|相続預貯金の仮払い制度を上手に活用するために
相続財産の中で重要な「預貯金」。
2018年の民法改正で、遺産分割前でも一定の条件を満たせば仮払いが可能になりました。
ただし、申請手続きや必要書類の準備には手間がかかるため、専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。
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監修者情報
- 代表取締役
- 臼井 大典
トラストエージェントは、滋賀県彦根市にある不動産会社です。地域に根ざした豊富な実績を活かし、さまざまな案件に対応いたします。ここでは、そんな当社の会社概要を紹介します。当社へのアクセス情報はこちらからご確認ください。