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民法改正で被相続人の 預貯金の取り扱いが変わる
相続法改正で「預貯金」が使いやすくなった理由
2018年7月、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」 が成立し、同年7月13日に公布されました。この法改正により、特に相続財産として大きな割合を占める「預貯金」の取り扱いが大きく変わりました。
実際、2023年の相続税申告状況 では、相続財産の内訳として
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不動産(宅地・家屋など)が36.5%
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現金・預貯金等が35.1%
を占めており、不動産に次いで重要な財産と言えます。
しかし、これまでは預貯金が「遺産分割協議の対象」とされていたため、協議が終わるまで引き出しができず、生活費や葬儀費用に困る ケースが全国で多発していました。
このような課題を解決するため、2018年の法改正では「預貯金の仮払い制度」が新設・緩和 され、相続人が一定条件のもと、協議終了前でも預貯金を引き出せるようになったのです。
2つの方法で可能になった「預貯金の仮払い」
1. 家庭裁判所への申し立てによる仮払い(保全処分)
■ 変更点と特徴
これまで「急迫の危険」がないと認められなかった仮分割の仮処分(保全処分) の要件が緩和され、
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債務の返済
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相続人の生活費
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その他必要性が認められる場合
に仮払いが可能になりました。
■ 手続きの流れ
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家庭裁判所に遺産分割の審判または調停 を申し立てる
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併せて、仮分割の仮処分(保全処分) を申し立てる
■ 金額の制限
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「他の相続人の利益を害しない範囲」 で認められるため、上限額は裁判所の判断次第です。
■ 注意点
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手続きに時間と労力がかかる。
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査定や裁判所の判断を待つ必要がある。
2. 金融機関への直接請求による仮払い(新設制度)
■ 変更点と特徴
2018年の改正で新たに設けられた制度で、相続人が単独で直接金融機関に請求 できるようになりました。
■ 払戻しの計算式
相続開始時の預貯金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分
■ 払戻し上限額
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金融機関ごとに150万円まで
■ 必要書類
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被相続人の除籍謄本・戸籍謄本
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相続人全員の戸籍謄本
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請求者の印鑑証明書
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通帳や預貯金証明書(金融機関による)
■ 注意点
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金融機関ごとに必要書類や手続きが異なる ため、事前確認が必須です。
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請求できる額には上限があるため、高額な支払いには不向き です。
仮払い制度のメリット・デメリットまとめ
メリット | デメリット |
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遺産分割協議を待たずに預貯金が引き出せる | 家庭裁判所手続きには時間・手間がかかる |
生活費・葬儀費用・債務返済に即対応できる | 金融機関への請求は150万円までの上限あり |
相続人が単独で手続き可能 | 書類集めや事前確認が必要 |
監修者情報
- 代表取締役
- 臼井 大典
トラストエージェントは、滋賀県彦根市にある不動産会社です。地域に根ざした豊富な実績を活かし、さまざまな案件に対応いたします。ここでは、そんな当社の会社概要を紹介します。当社へのアクセス情報はこちらからご確認ください。