相続によって財産を取得した場合、さまざまな税金が関係してきます。代表的なものは相続税ですが、不動産を相続した場合にはそれだけではありません。相続した不動産の名義を変更する際には、登録免許税という税金も必要になります。
不動産を相続したときには、法務局で「相続登記(所有権移転登記)」を行い、亡くなった方(被相続人)から相続人へ名義を変更する必要があります。その際にかかる税金が登録免許税です。ここでは、相続で不動産を取得した場合の登録免許税についてわかりやすく解説します。
まず、登録免許税とはどのような税金なのかを理解しておきましょう。
登録免許税は、不動産の登記だけにかかる税金ではありません。実際には、
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不動産
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船舶
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航空機
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会社の設立登記
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各種資格や免許の登録
など、さまざまな登記・登録の手続きに対して課税される国税です。
相続の場合には、不動産の所有者が亡くなったことにより、被相続人から相続人へ所有権を移転する登記を行うことになります。この名義変更の手続きに対して登録免許税が課税されます。
登録免許税の計算の基準になるのは、不動産の購入価格や市場価格ではありません。計算に使われるのは固定資産税評価額です。
固定資産税評価額とは、市町村が土地や建物の価値を評価して決めるもので、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書などで確認することができます。相続税の計算に使われる「相続税評価額」や、不動産の「時価」とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
次に、登録免許税の税率について見ていきましょう。
登録免許税の税率は、不動産を取得した原因によって異なります。たとえば土地の所有権移転登記の場合、原因ごとの税率は次のようになっています。
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売買:原則 1000分の20(2%)
※令和11年3月31日までは 1000分の15(1.5%)に軽減 -
贈与:1000分の20(2%)
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相続:1000分の4(0.4%)
このように、相続による登記は他の原因に比べて税率が低く設定されているのが特徴です。
建物についても基本的な考え方は同じです。建物の所有権移転登記の場合、
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売買・贈与:1000分の20(2%)
※個人の住宅用家屋の売買は 1000分の3に軽減(令和9年3月31日まで) -
相続による所有権移転:1000分の4(0.4%)
さらに、建物を新築した際の所有権保存登記では、
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原則 1000分の4
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個人の住宅用家屋の場合 1000分の1.5(軽減措置あり)
といった税率が適用されます。
ただし注意が必要なのは、誰がどのように不動産を取得したかによって税率が変わるという点です。
相続による登録免許税の税率(1000分の4)が適用されるのは、法定相続人が相続によって不動産を取得した場合です。
例えば次のようなケースでは扱いが異なります。
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相続人以外の人が遺贈によって不動産を取得した場合
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相続人や第三者が死因贈与によって財産を取得した場合
これらは法律上「相続による取得」とは扱われないため、**税率は1000分の20(2%)**が適用されます。
つまり、同じ評価額の不動産であっても
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誰が取得するのか
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相続なのか、遺贈なのか
といった違いによって、登録免許税の負担が大きく変わる可能性があるのです。
不動産を相続した場合には、相続税だけでなく登録免許税や登記費用などの負担も発生します。特に不動産の評価額が高い場合は、登録免許税もそれなりの金額になることがあります。
そのため、不動産の相続が発生した際には、
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不動産の評価額
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登録免許税の金額
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相続登記の手続き方法
などを事前に確認し、計画的に手続きを進めることが大切です。専門家に相談することで、スムーズに相続登記を進めることができるでしょう。


